鉄道ひとり旅。〜1日目〜

出発の朝。その日は朝から雨だった。前途多難が予想される嵐のひとり旅。かばんをビニール袋でガードし、台風が近づく中、旅立ったのであった。
スーパーひたちに乗車すべく、上野へ向かう。発車時刻の1時間前。もうすぐ上野に着こうかというときに車内アナウンスが。
常磐線は人身事故のため、運転を見合わせております。」
はうぅ。しょっぱなから予定が狂ったぞ。こっちは時刻表通りに乗れないと宿にたどり着けないのにぃ…。
上野に着き、とりあえず常磐線のホームへと向かう。しばらくして運転再開のアナウンスが。しかし、ホームには2本前の列車が停車中。いったいスーパーひたちは何分遅れるんだ…。列車を2本やり過ごし、本来の出発時刻近くになって、乗車するスーパーひたちが到着。どうやら10分遅れくらいで出発しそうだ。ほっと一息。


スーパーひたちは、停車駅ごとに1分ずつ遅れを取り戻していた。よしよし。このまま行けば計算上仙台には定刻で到着か…。という甘い考えは土浦の手前で打ち砕かれる。人身事故や雨の影響からか、列車が詰まっていて駅に入れない…。10分近く停車。おいおいおい。仙台では接続時間30分弱あるのだが、ひょっとしたらやばいかも…。


いわきに到着し、4両編成になったスーパーひたちは仙台に向かいひた走る。常磐線はところどころ単線のため、すれ違いに時間を食う。10分前後の遅れが全く縮まらない。
途中から乗車した老婦人によると、自由席は通路に人があふれて身動きできない状態らしい。どうも、その老婦人は車掌さんにお金を払って若干空席のある指定席に変更したようだ。老婦人曰く「指定席に変更して良かったわ。お金払ってこっちに来ればいいのにね。そんなに料金違わないんだから。」そして私は心の中でつぶやく。「おばあさん、指定席に変更できる切符とできない切符があるんですよ。おばあさんのはふつうの切符だから指定席への変更の場合は差額を払えばいいんですけど、私が持ってるフリー切符の類は、乗車後の変更は指定席料金全額払わなきゃだめなんですよ。だから、みんな我慢して乗車してるんですよ。」と。


12分遅れでなんとか仙台到着。仙石線にのりかえです。15分近く余裕があるので、となりのあおば通駅まで歩く。やっぱり始発駅から乗らなきゃね。
石巻を目指して、仙石線の快速うみかぜは雨の中を走っていく。松島の景色も雨に曇ってよく見えず。そして石巻へ。石巻線にのりかえ…。…。…。2時間待ち。逆方向に乗って折り返せるかと思い、時刻表を調べると…、だめだ、戻って来れない。ということで、待合室でひまをつぶす。雨が降ってなければ町中を歩くのにな…。


石巻線、そして前谷地駅でのりかえて気仙沼線ディーゼルの列車にゆられ、気仙沼到着。大船渡線との接続1時間半。また待合室で待ちぼうけ。
雨脚はさらにひどさを増している。待合室のテレビでは台風情報をやっている。
常磐線は台風のため全線ストップ…
ひょえ〜。あのあと常磐線止まったんかいな。台風来るのがもっと早かったら出発すらできなかったぞ。なんとか無事に釜石までたどり着いてくれぇ…。


大船渡線盛駅へ。そして三陸鉄道で釜石へ向かうはずが、最大の悲劇が襲う。三陸鉄道が運転見合わせ。三陸鉄道の運転手さんとちょうど乗り合わせた地元のおばさんに話を聞く。内容は以下の通り。

  • 以前、強風で列車が転覆したことがある
  • したがって、基準の風速を下回らない限り、出発することはできない
  • もし基準風速を下回って出発することができても、途中でまた上回ればその地点で待つことになる
  • 無人駅が続くので、途中で降りたとしてもタクシーすら呼べない

すっかり怖気づいた私は、仕方なくタクシーに乗って釜石へ向かう。途中までおばさんが同乗していたので、途中までは折半することに。タクシーの運ちゃんもいい人で、おばさんの家への分かれ道で一旦メーターを止め、おばさんの家に向かい、また元の場所に戻ったところでメーターを動かしてもらい、結果的にちょっとサービスしてもらった。ま、こんな台風の日にお客なんてつかまらないだろうから、運ちゃんにしてもよかったのだろう。それでも結局8千円くらい出費。列車の運賃は1000円ちょっとなので、8倍かかってしまったのだ…(泣)。


そしてなんとかホテルに着き、眠りについたのだった…。

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 いい日旅立ち song by Momoe Yamaguchi